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Writers プロフィール

RIE MAESAKA
出版社勤務後、独立。フリーランスのエディター&ライターとして、モード誌や女性誌のWEBサイトを中心に、ファッションやセレブ、ライフスタイルにまつわるページを手がける。おしゃれ古着プロジェクト「セカンドクローゼット」も発足。愛猫との日々を綴った猫ブログも好評連載中。


トップデザイナーズ・ランウェイ
#2「ランバンのコレクション前夜」

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今回は、「ランバン」のショー直前の模様に密着した「トップデザイナーズ・ランウェイ」。前回の「イザベル マラン」に比べ、よりクチュールの粋を感じさせる内容でしたね。特にデザイナー、アルベール・エルバスの要求の高さといったら……気が遠くなりそうなほど!! パターンナーや職人が彼のひと言で、モデル52人分(!)の作品の丈やウエスト位置、肩、ベルト位置の1mm単位の直しまで延々とやり続けるんですから。彼らの仕事ぶりには本当に感服させられます。でも逆を返すと、ショー前夜にしてそれだけの調整作業が可能なのは、アトリエの技術力の高さによるもの。これぞクチュールメゾンといった感じですね。


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さて、1889年に創立されたフランスの老舗メゾンである「ランバン」。アルベール・エルバスは、2001年よりデザイナーに就任しました。構築的なシルエットやドレープを多用した彼のデザインは、老舗メゾンに新しい風を呼び込み、瞬く間に大人気ブランドへと躍進。女性のボディラインを美しく見せながらエレガントな気品も感じさせるウェアの数々は、多くのジャーナリストやセレブから賞賛され、アルベール・エルバス自身も“女性を最高に美しく見せる”デザイナーと褒め称えられるようになったのでした。


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そんな彼のデザイン美学の根底にあるのは、“女性賛美”の想い。彼がデザイナーに就任して初めて来日し、東京でショーを行ったとき、私はまだ出版社に入る前の駆け出しのライターで初めてのショー取材が「ランバン」だったのですが、そのとき、彼が記者会見で言った言葉が今でもとても印象に残っています。「母や友達、仕事仲間……私の周りにはたくさんの女性がいる。皆、子育てや仕事を懸命にがんばり、その姿は尊敬に値する。そんな女性たちを美しい服で応援したい。私は女性を美しく見せたいんだ」。


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今回このドキュメンタリーを見ていて、今もエルバスが同じことを言い続けていることに驚きました。それは、肩パッドのくだり。「今回の肩パッドは翼。その翼が自由と強さを与えててくれる。女性の生き方は変わった。ハードだよ。女性は何でもやらなきゃいけない。完璧な母を目指し、仕事も完璧にこなし、オシャレもダイエットもシワ取りもしなきゃ。それを助けたいんだ肩パッドで。女性を支えてあげたい」。


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ファッションの世界では一般的に肩パッドは“男性性”を意味しています。男性服であるジャケットに本来付いていた肩パッドを、女性の服に取り入れることで、男性のような強さを身につけることを意味していました。特に女性の社会進出が目立った80年代は、肩パッドの全盛期。男女平等が叫ばれた時代のなかで、大げさなくらい大きな肩パッドをつけることで、女性は自らを武装していたのです。


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今回、アルベール・エルバスが提案した肩パッドは、そのパワーショルダーの時代からさらに進んだ新たなスタイル。時代は流れ、女性の社会進出が一般的となり、女性が自分らしく生きられる時代になった現代。物質的にも恵まれ、多様性が広がる中で、時間はよりタイトに、シャープに変化していっています。アルベールは、そんな時代でも、女性であることを謳歌できるように、さりげなく女性に寄り添いサポートするウェアを作りたかったのだと思います。それは、これみよがしの肩パッドではなく、もっと個人の精神性に近い、お守りのようなディテール。そのため、カッティングや厚みにこだわり、着心地よく纏えるよう改良を重ねたのでしょう。


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かっちりとした肩のディテールに軽やかな生地を組み合わせ、カッティングやドレープによって艶やかな女性らしさを表現した今回のコレクション。それは、現代を軽やかに生きる女性のための服であり、まさに今の女性が求める服でした。アルベール・エルバスは今後も、女性が輝き続ける服を作り続けることでしょう。ショーの最後のぎりぎりまで調整を重ねながら数ミリ単位の直しを続けながら……すべては今を生きる女性のために。

2012.12.30|トップデザイナーズ・ランウェイ|コメント(0)トラックバック(0)

トップデザイナーズ・ランウェイ
#1「イザベル・マランのコレクション前夜」

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トップデザイナーたちのコレクション前夜を追ったドキュメンタリー「トップデザイナーズ・ランウェイ」。今回は、「イザベル マラン」のコレクションにフォーカスし、ショー直前の模様に密着しました。


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「プロジェクト・ランウェイ」をご覧の方は想像がつくと思うのですが、ショー前日~直前にかけての、まぁなんと慌ただしいこと! どのブランドにも言えることながら、改めて舞台裏を覗いてみるとその強烈さがわかりますよね。一歩も譲れないデザイナーのこだわり、それに基づく作業の繰り返し、モデルの手配、トラブル勃発etc…刻一刻と迫るショーの時間を前に、1分1秒も無駄にできない戦いが繰り広げられます。すべては、よりよいコレクションを発表するために。ショーがシーズンの出来を左右し、それが評価に繋がり、購買に繋がるのですから。


その猛烈に慌ただしい直前の模様を振り返る前に、まずは「イザベル マラン」というブランドを簡単にご紹介しましょう。


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コレクション前夜では、次から次へと問題が勃発。モデルのブッキング、ショーで使う靴の遅延、カギとなるニットドレスの未完成、イザベルのぎっくり腰……。私も何度かいろいろなブランドのショー~バックステージの取材をしましたが、なかなかのトラブル山積具合。。。ただ、イザベルの明るい人柄がせめてもの救いでしょう。センシティブなデザイナーだったら周りが萎縮して現場の雰囲気も悪くなっていたはず。彼女のこの人柄は、エディターやライターたちにも人気が高く、インタビューした人は必ずファンになってしまうんですよ。私もそのひとり! 気さくな人柄とさりげないおしゃれは、女性なら真似したくなりますよね。


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さて今回、ショーの出来を左右する重要なファクターとなったのがモデルの存在。ハンガーにかかっていた作品も、トップモデルが纏えばまるで命を吹き込まれたかのように生き生きとした表情を現します。


コレクションの繁盛期となるとトップモデルの奪い合いが始まります。30分~1時間おきにあちこちの会場でショーが開催されるため、各ブランドのキャスティングディレクターはスケジュールの猛調整! しかも、モデルはロシアや東欧系が多いのでパスポートトラブルが多く、入国審査で足止め食らうことも多々。また、ビッグメゾンのショーが重なって移動に間に合わないモデルたちもいたり。本当に、ショーでも撮影でもモデル絡みのトラブルは何かと起きやすいのです。


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それでもトップモデルはランウェイになくてはならない存在。今回、このドキュメンタリーをご覧になってお気づきかと思うのですが、たった数分のランウェイ上でもモデルたちには表現力が必要とされます。「パリの街を軽やかに歩いているような」「楽しげな気分で」「微笑みを浮かべて」……と、イザベルからもいくつかリクエストが出されていましたよね。さらに、あの角を曲がって直進して、、ジャケットを途中で脱いで、、とショーの演出まで汲み取らないといけないので、おバカではモデルは務まりません。トップモデルは、さながら女優のような演技力とモデルとしての技術力を両立しており、ビッグブランドからのオファーが絶えないのです。


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そして旬の顔であることも重要。数年前まではドーリーな甘い顔が人気でしたが、最近ではやや中性的な顔がもてはやされています。全体的な表情はクールなんだけど、どこか女らしさもあり、イノセントな表情も持ち合わせている…今回登場したアリゾナ・ミューズやアンナ・セレズネヴァ、アンニャ・ルービックがまさにそのあたりですね。


そんなモデルたちを総動員して完成したショー。タイダイ風プリントのパンツやラフなアメリカンTシャツ、クチュールライクな刺繍ジャケットなどなど、ハイ&ローが絶妙にミックスされた圧巻のコレクションでした。ファッションにラフさや軽やかさを求める昨今の流れにぴったりとはまるウェアの数々。まさに今のこの時代がイザベルを選んだという証でしょう。


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ドキュメンタリーの最後で彼女が「“時代とピッタリ合う時期”がデザイナーそれぞれにある。ある年齢に達すると時代からずれてくるし競い合うことも減る。その時は人生を楽しみたい」と言っていました。イザベル自身が一番分かっているのでしょうね。求められことも。終わりが来ることも。求められている今は、精一杯素晴らしいクリエーションをし、終わりが来たのなら、人生を改めて楽しみたい。そう言えるのは本当に素敵なことです。つい、栄光にしがみつきたくなってしまうのが人の常。しかし家族や友人たちと過ごすゆったりとした時間も、かけがえのない人生の一ピース。そこからまた新たなクリエーションが生まれ、時代のトレンドを牽引するかも知れないのですから。


2013年春夏コレクションも大評判の「イザベル マラン」。これからも街中で、彼女の服を目にすることは多いことでしょう。おしゃれが楽しくなるようなアイテムの数々は、女性のワードローブの第一線でまだまだ大活躍してくれそうです。

2012.12.23|トップデザイナーズ・ランウェイ|コメント(0)トラックバック(0)